要するに、消費者たる私の目は、本筋からはずれたものに、たいへん弱いらしいのである。たとえば、たばこ屋の飾り棚に隠れていた超小型ハロゲンライト、古本屋の隅にうずくまっていた鋳物のペーパーウェイト、ジーンズショップの窓に立て掛けてあった十九世紀なかばの装飾用タイル・・・著者がパリの路地裏で出会ったものたちとの密やかな交流をつづった随筆集。「もののはずみ」で「また、買ってしまった」ものたちを見つめる堀江さんのまなざしは、ぬくもりに満ちている。好きな箇所がたくさんある本なのですが、古物市で出会ったおじさんの「ものごころ」の話は特に良。
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