作家の食卓

2005年8月18日 衣食住
立原正秋の豚のもつ茹でから、澁澤龍彦の甘鯛の唐揚げまで―作家たちが毎日、朝昼晩、家庭で食べていたメニューを再現した活字中毒者にはうれしい一冊。平凡社刊の『太陽』で10年くらい前に特集されていて、入手困難だったのですが、単行本になって再版、加筆されているのも、心にくいですネー。
色川武大と澁澤龍彦の「食卓」もなかなか素晴らしいのですが、群を抜いてすごいのは、やはり檀一雄。
この地上で、私は買い出しほど、好きな仕事はない。あっちの野菜屋から、こっちの魚屋と、日に三度、四度は買い出してまわっている。日本中はおろか、ひょっとしたら世界中の市場を買い漁ってまわっているようなものかもわからない。おそらく、私の旅行癖や放浪は、私の買い出し愛好と重要な関係があるのであって、私にとってその土地に出かけていったということは、その土地の魚菜を買い漁り、その土地の流儀を、見様見真似、さまざまのものを煮たきし、食ったということかもわからない。
なんと言っても、このまえがきが好き。以前にも書きましたが、うちは母娘二代で『檀流クッキング』の愛読者。だからというか、案の定というか、みんな食いしん坊で、食卓中心主義。「ごはんを食べながら、次のごはんの話をする」というようなことも、わが家では少なくないのでした。と、そんなことはさておき、ドジョウの丸鍋はカラー写真入りで見ると、さらにおいしそうです。
 

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