肝心なのはそれだけ。あとは杯を傾けるほどに刺激がなくなり、粘っこい生ぬるさと、白けた満腹しかやってこない。最後に残るのはたぶん、虚勢もこれで終りという幻滅・・・なすすべもなく絶望した錬金術師は、ただ見かけだけ威勢よくビールの杯を重ねたあげく、喜びを陰らせるだけ。それは苦い幸福、最初の一口を忘れるために飲むもの。
日常のなかのシンプルな喜び、至福の瞬間を34篇集めた日々の快楽主義の小さな手引書
「ビールは一口目だけがうまい」とみなさんよくおっしゃいますが、その割にはお腹がタプタプになるまで、よくお飲みになっているように見えなくもない。本当なのでしょうか?「飲み続ける」というのは、それはそれで苦い幸福なのでしょうか?下戸なので、その感覚がわからないのが口惜しい。

コメント