いつの間にこんなことになったのだろう。芸術か戦争か、カミかオンナか、などとひたすら悩み、酒が入れば他愛もなく裸でおどっていたのは、ついこのあいだのことなんだ。そんなのが人並みに奥さんをもらって子どもを育て、そのまた子どもから、うちのじいちゃんと呼ばれている。そんな芝居をいつ身につけたのか。白髪も禿頭も、まさかカツラじゃないだろう。


戦没した画学生の遺作を集めた「無言館」という小さな美術館の存在を知ったのは、確かこの本がきっかけだったはず・・・と、ひさしぶりに引っぱりだしてきて再読。この本、画家 野見山暁治さんが「自作を語った」初の文集なのですが、じつに名随筆。愛するひとたちとの出会いと別れを綴った前半は特に、ふかぶかと染みいるものがあります。ところで、「無言館」の慰霊碑に、誰かが赤いペンキをぶちまけた―という記事を読みました。一度殺されたひとのたましいを、もう一度血塗るひとの気が知れない。。。  

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