フイリソシンカの葉というのが、ちょっと変わった形をしていて面白い。葉が真ん中の太い葉脈を中心にして左右対称で、蝶のはねのような形をしている。そして夜になると、それを蝶のはねのようにまん中で二つに折りたたんで眠るのである。
インドの村々をまわり、昔話や植物に関する話を収集している著者が、ひとと植物との関わりを描いたエッセイ集。ちなみに日本で沙羅双樹と呼ばれるナツツバキと、インドの「サラソウジュ(婆羅双樹)」は、まったく別の木らしい。なるほど。

ところで、インドの植物の名前は当然の如くちんぷんかんぷん。きっと私の脳裏に生い茂っている草花は、現物とは似ても似つかないものなのだろう。しかし、これこそ読書の醍醐味。あいだに挟まれる民話も、小さな頃に読み聞かせてもらったどこか遠い国のお話のように、やわらかな眠気を誘う。就寝前にも最適な本。

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