田んぼには白衣のお百姓たちが、女や子供、一家総出で、ひどくのんびり輪になって腰をおろしたり、稲束を運んでいたりする。どこにも、こどもたちが元気いっぱい、遊んでいる。楽しそうに、躍り動いている。遊ぶ子供の姿にこそその国の文化の質はあらわになる。そんな風に一人でうなずいた。さらに、歩いている女性たちの服装の原色が、鮮やかに目をいる。ぼたん色。紫、赤、緑。まことに一人一人がふくらんで、平気で生きているのだ。私の不安な予感は、うれしく裏切られてしまった。
日韓国交正常化前年の1964年と、その13年後の1977年に二度、韓国を訪れた岡本太郎による旅先の記録。

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