ちびっこから大人になって、収入を得て、大人たちの許可なしで好き勝手にいろんなことができるようになって、さて、おれはほんとうは何がしたいのだろうかと考えた。ちびっこの頃にしたくてたまらなかったけれどできなかったことで、今はその気になればすぐにできること。そうだ。でかいプリンが作りたい。風呂おけくらいの、せめてバケツいっぱいの、でっかいプリンを見てみたい。
ケンタロウ君のお料理本、最新刊。テーマは「ちびっこの頃に食べたおうちごはん」。ハンバーグ、マカロニグラタン、から揚げetc.etc.同時代人だからなのか、ごちそう感覚が似ていると思う。途中に挟まれるエッセイも可笑しい。

そういえば去年だったか、夏に鳥取に遊びに行ったことがある。私は「二十世紀梨」を果物の王者と思っているくちなのだが、念願の梨狩りなるものをして、一度、思う存分、梨を食べてみたかったのだ。梨園は想像通り、至福の空間だった。真夏の太陽を浴びて、すっかり甘くなった大きな梨が、いたるところにたわわに実っていた。ところが、巨大な梨をほおばり、「おいひいね」と同行者と喜びをわかちあっていたのはつかの間・・・信じがたいことに2個目に差しかかったあたりで、お腹がたぷたぷになりはじめ、3個目に手を伸ばす前でギブアップを宣言。嗚呼、なんといふ悲劇!

鳥取砂丘で植田正治の真似ごとをして、砂の上をぶかぶかと走りまわったあの日。(写真がまったくもって植田調にはならなかった悲しい現実とあいまって)「梨をたらふく食べたい」という子どもの頃の夢がぷちんと音を立てて弾けた・・・それは、すこしセンチメンタルな旅なのでした。しみじみ。

☆追記☆
こんなものを見つけてしまいました!
http://www.rakuten.co.jp/kamasho/499854/539108/
やはり「子供の頃、バケツくらいの大きさのプリンが食べてみたかった」というお客さんの声が開発のきっかけになったそうです。

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