京都文化博物館に清水宏監督の『蜂の巣の子供たち』を観に行く。敗戦間もない頃、駅でたむろしていた浮浪児たちと復員兵の青年が出会い、新天地を求めて旅するロードムービー。今回たまたま新聞を観ていて上映されることを知ったのだが、じつは前からとても気になっていた作品。主人公は戦災孤児の子供たちで、実際に清水監督が養子縁組をして育てていたというから驚きだ。

物語展開は単純だし、子供たちの演技はお世辞にも上手いとは言えないのだが、映画の中盤あたりからなぜか、そのことが気にならなくなるから不思議。一生懸命背伸びをして、こましゃくれた口をきき、「寂しかなんかないやい!」とそっぽを向く男の子たちが、無性にいとおしくなってくるのだ。何かと言えば生意気な口をきく「鼻がひん曲がった男の子」なんて特に!

テーマソングも耳に残る。♪はちのこ、はちのす、ぶんぶんぶん♪のメロディが、いまだ頭のなかをグルグルめぐって仕方がない。

ちなみに、平日の昼間だけあって、会場のお客さんの平均年齢は70歳くらいだった。(シルバーパスを持っていないのは、私だけだと思ふ) 戦争が終わったとき、ちょうど「子供たち以上、復員兵の青年未満」くらいの年齢だった方も多かったはず。映画の冒頭、引き上げ列車のシーンのところで、会場のあちこちから、何やらささやく声が聞こえてきたのが印象的だった。

同作品はあともう一度、4月3日に上映されるとのこと。
詳しくはこちら、『自由という地平ー戦後の独立プロダクション作品集』
http://www.bunpaku.or.jp/eizou.html

コメント