元みんぱくの館長 梅棹忠夫さんのモンゴル回想記。前半は、1944年から2年間、戦争という状況下で、モンゴル草原における牧畜研究に没頭した日々について書かれていて、後半はフィールドワーク報告という構成になっている。後半の図譜入り報告のほうが面白い。「らくだのはな木」や「ウシの口がせ」といったエッセイが特に。

そういえば、池澤夏樹さんが以前『見えない博物館』という本のなかで「国立民族学博物館の悲しさは忘れがたい」と書かれていたことがある。その文章の意図することはわかるだけに、口惜しい思いをしたのだが・・・そうはいっても「みんぱく」は楽しい。美術館と違って、友だちとおしゃべりしながらまわれるのが楽しい。何に使うのかよくわからない木製の道具から、地球の裏側で暮らすひとたちの生活に思いを馳せるのが、やっぱり楽しい。
 
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