夕刻、インタビューを終えて帰る私を見送った彼は「人と話すのって、楽しいですか」と訪ねてきた。私が楽しいと答えると、彼は本当に関心した様子で「強いんですね」と言った。ひとと、ただ対話をすること。それを「強い」という言葉で表現されるのは初めての経験だった。
おそらくこの本を10年くらい前に読んでいれば、また違う感想を持ったのだろう。でも、いまは引きこもる若者たちの取材を続ける著者が時折見せる戸惑いや迷いに、共感してしまう。「強い」と表現されてたじろいでしまった著者の気持ちに感情移入してしまう。さいわいなこと、なのだろうか。

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