欲望は執着を生む。執着は殺意をまねく。
京都シネマにて『春夏秋冬、そして春』を観る。この手の映画は家でだと集中できないのな。さて、『悪い男』『悪い女』などの作品で名高いキム・ギドク監督(「韓国の北野武」とは、うまい例えだ!)の作品なのに、この静かな情感ただよう空気はなんだ?と思っていたところ、案の定、「夏」から物語は愛憎に満ちた展開へ。とにかく激しい。まさに日本映画ではありえない感情表現。終盤に差しかかってくると、さらに『恨』の世界を体現しているというか・・・『西便制』とか『春香伝』を髣髴させるのよね。つくづく、これが韓国式美学なんだと思います。欧米でヒットしたらしくて、「なるほどな」と思う。彼らの目には謎めいたオリエンタリズムに映るのだ、きっと。

ちなみにギドク監督自身が『冬』の章は僧侶として登場します。氷の上で上半身裸で身体を鍛錬する男が長々と(かつ美しく)映し出されるので、どういう意味なんだろうと思っていましたが、やはり「美学」なんだろうと思います。刹那的で、まるで三島由紀夫みたいだ。。。

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