覚悟 戦場ジャーナリストの夫と生きた日々
2005年2月27日 ノンフィクション私はまだ、私の携帯電話に入っている、あなたの番号を消せずにいます。今でも、私の都合も考えずに電話をしてきたあなたの声を、なつかしく思い出します。今でも、携帯が鳴ると「あなたかな?」って思ってしまいます。でも、もうあなたの声は聞けないのですね。もう、あなたのにおいも感じとれないのですね。伸介さん。「イラクで武装組織が日本人ジャーナリストの乗った車を襲撃」
あのニュースが流れたとき、我が家はみんな、瞬時にしてテレビに釘付けになった。しばし沈黙。そして、誰が口火を切ったか忘れたが、めずらしく意見は一致した。「きれいなひとやね」毅然として会見にのぞむ橋田幸子さんの姿は、とてもうつくしかった。そういうことを言うと不謹慎なのかもしれないけど、うちはその話題でしばらく持ちきりだった。『覚悟』を読んで初めて、あのときの幸子さんの胸のうちを知った。それでもなお、うつくしいひとだと思う。心から、そう思う。
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