僕たちの世代というのは、戦争というものの実体験もないまま、自己の中に戦争に対する明確な主義主張を確立する必要もないまま、教わるままに戦争=絶対悪として、思考停止に陥りがちだ。戦争というコトバを聞くだけで僕たちの頭の中に普遍化されたモノクロの映像が浮かんでくる。行軍する兵士、黒煙をあげて落ちる戦闘機、忌わしいキノコ雲・・・その反面、いわゆる『世間』では「正義のために、愛するひとのために」という大義名分をうけて戦うことを正当化する、という図式がまかりとおっている。子ども向けのヒーロー番組しかり、勧善懲悪型の時代劇しかり。共感できるとも言いづらく、共感できないとも言いづらい。読み終わったあとの、この後味の悪さはなんだ?それを狙っているのだろうか、著者は。
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