私の牛がハンバーガーになるまで
2005年1月19日 ノンフィクションアメリカ人は年間50億個以上のハンバーガーを食べ、1時間に五千頭以上の牛が肉にされている。「牛はどうやってハンバーガーになるのか」その現実のすがたを本に書こうと、一人のジャーナリストが立ち上がった!自ら子牛を買い、誕生から解体までの現場を追い始めるうちに、いつのまにか彼は子牛たちに愛情を覚えてしまって・・・生き物を食べること」とは何かを問いかける、一人の男と二頭の牛たちの「最終目的地」への旅。
テーマは面白いし、内容も興味深いのだけど、ちょっと読みにくいのが難点。何しろ設定が「牛の誕生から消費までのサイクルをすべて見届ける」と非常に壮大。酪農や農業、牛の飼料や病気までと、話が広がりすぎている感あり。あと、牧場の人間関係に頁を割きすぎではないかと思わなくもない。
実際の飼育は牧場に委託しているので、著者はあくまでも観察者という立場にこだわっているし、自分の牛を特別扱いはしないと心に決めているのだが・・・それでも意志とは裏腹に、子牛のことがだんだんいとおしくなっていく。最後の決断を前に揺れ動く筆者の心情がとても興味深い。
余談だが『もう一つの教育』は逆に、仔牛を育てる「当事者」になった子どもたちを追ったドキュメンタリー作品。「自分たちで育てているうちに、仔牛のローラが大好きになってしまった」子どもたちがダラダラ泣きながら仔牛を見送るシーンは、何度見ても胸に詰まってしまう。
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