きわめてよいふうけい―SHORT HOPE 中平卓馬
2005年1月17日 映画
単行本 ホンマ タカシ リトルモア 2004/06 ¥1,600
中平は喜納昌吉の古いアルバムを30年前から変わらず聴いているという。「飽きることがないから」ではなくて、あの日を境に「時を刻む」ということがなくなったから。写真家が自らの写真集を繰りながら、ぼそぼそとつぶやく様子を見ていると、「記憶」って何なのだろうとあらためて考えさせられてしまう。
「批評が失われた」写真は別の意味で力強さを内包しているのだとしても、やはりあの時、中平卓馬が翼をもぎとられたことには変わりないだろう。けれど観ている側の思惑を裏切るかのように、写真家はひょうひょうと自転車にまたがり、河原を蛇行しながら、かけがえのない一瞬を探しつづける。
それにしても映画館は若い衆でごったがえしていた。ホンマタカシ監督作品だから?伝説の写真家、中平卓馬がお目当てなのだろうか・・・なんだかとっても自己愛の強そうな、見るからに大学生たち。「批評なんかなくったって、写真は撮れるぜ!」オーラを出しまくっている彼らを見ていたら、妙に怖気づいてしまった。
1970年代を写真と言葉で挑発しつづけた中平卓馬。彼が多量のアルコール摂取により、昏睡状態に陥ったのは1977年9月11日未明のことだった。以降、彼は記憶を失い、その写真からは批評という視点が失われた。ホンマタカシによる初のドキュメンタリー映像作品。ひたすら淡々と描かれている。判断をすべて観客にゆだねるという感じなので、観ていて逆に重苦しい。
中平は喜納昌吉の古いアルバムを30年前から変わらず聴いているという。「飽きることがないから」ではなくて、あの日を境に「時を刻む」ということがなくなったから。写真家が自らの写真集を繰りながら、ぼそぼそとつぶやく様子を見ていると、「記憶」って何なのだろうとあらためて考えさせられてしまう。
「批評が失われた」写真は別の意味で力強さを内包しているのだとしても、やはりあの時、中平卓馬が翼をもぎとられたことには変わりないだろう。けれど観ている側の思惑を裏切るかのように、写真家はひょうひょうと自転車にまたがり、河原を蛇行しながら、かけがえのない一瞬を探しつづける。
それにしても映画館は若い衆でごったがえしていた。ホンマタカシ監督作品だから?伝説の写真家、中平卓馬がお目当てなのだろうか・・・なんだかとっても自己愛の強そうな、見るからに大学生たち。「批評なんかなくったって、写真は撮れるぜ!」オーラを出しまくっている彼らを見ていたら、妙に怖気づいてしまった。
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