忘れられる過去

最初にふれているのだ。そのときは気づかない。
二つめあたりにふれたときふれたと感じるが、実はその前に与えられているのだ。
読書とはいつも、そういうものである。

本との出会いについて書かれた部分なのだけれど、なんだか誰かと出会うときもそんな心持ちがする。荒川さんの言葉はすごくシンプルなのに、こちらがたじろいでしまうくらいに的を得ている。饒舌ではない語り口というのは怖いですね、まったく。嗚呼、私も「愛書家」になりたい！

それにしてもみすず書房の本って、表紙からまさに活字中毒者ご用達の空気を醸しだしているような気がします。池内紀さんの『遊園地の木馬』および一連のシリーズも素晴らしい。