おぱらばん

2005年1月10日 小説
周囲のひとたちから「先生」と慕われている隣人。彼がたどたどしいフランス語で『おぱらばん』とつぶやくその音が「私」は何よりも好きだった―政治的な理由か、はたまた別の理由からか故郷中国を離れ、パリに暮らす居留者たちを描いた表題作『おぱらばん』に★★★★。どこか遠い異国で暮らし、「この街では自分もディアスポラなのだ」と、はたと気づいたことがあるひと。「じぶんとおなじ顔の人間が歩いている」というそれだけで、その街に親しみ以上の喜びを感じたことがあるひとなら、この感覚わかるはず。

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