店に入るか、どうかの決め手となる食品サンプル。それは日本で生まれたユニークな食のメディアである。なぜ、日本で食品サンプルが誕生したのか?いつ誰が発明したのか?最初に食品サンプルを並べた店はどこか?このような食品サンプルの謎を解き明かすのが本書である。その謎解きの過程で、読者は良質の推理小説を読んでいるような気分を味わうことができる。10年かけて全国をまわり、韓国、中国まで足をのばして取材して書いた、博士論文級の労作である。
         国立民族学博物館長 石毛直道 

嗚呼、かくも面白きかな食品サンプルの世界!★★★★
料理に対する『期待感』よりも『安心感』を求めるのは「日本人の国民性」―確かに、確かに。国民性という言葉はあまり使いたくはないのだけれど、ここには間違いなく、この風土に裏打ちされた特性というか、独特の食文化があるのかも。そんなことを再確認するようなエピソードが多数で、かなり楽しめた。
ちなみにうちの近所には「西尾製作所」というジオラマ・レプリカの製作所がある。動植物の生体解剖模型とか、博物館の標本とか、理科の教育教材を作っている会社で、その筋では有名らしい。ここの創始者が日本における「料理模型」のパイオニアというのは噂に聞いていたけれど、本当だった。すごい!個人的に、とてもトリビアな話題。

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