体の贈り物

2004年12月31日 小説
語り手はエイズ患者の世話をするホームケア・ワーカー。この短編集は生と死のはざまで、静かに深く、心をかよわせる彼女と患者さんたちとのやりとりが描かれている。登場人物たちはみんな、とてもささやかなことを望んでいるのに、それさえもかなわない。だから、人知れず吐息を漏らすしかないのだけれど・・・悲しみと喜びがあわく混じり合った、とても静謐な物語。実際に著者もケア・ワーカーをしていたと、どこかで読んだことがある。だからだろうか、ひとつひとつの物語には彼女の小さな祈りがこめられているような気がする。★★★

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