「アジアン」の世紀―新世代が創る越境文化
2004年12月19日 新書
タイトルの「甘さ」とは裏腹に、なかなか骨太な内容。著者はソウルや台湾で暮らしたことがあるようで、アジアをかなり俯瞰図的に見ている。なかなか興味深かったが、やや饒舌で、鼻につく物言いではある。それに、アジア諸国の成り立ち(権威主義体制と民主化闘争の関係とか)をある程度知っていないと、読みにくい本だと思う。経済危機を経て、各国(および旅行者)が懐古趣味に走る傾向について、「ノスタルジー自体が窓なわけではなく、まして風景そのものではありえない。その向こう側に現実のアジア世界が広がっているのだから」という言説はもっともだと思う。
コメント