DVD ビデオメーカー 2000/06/26 ¥4,935
(The Overlook Press/1996年1月発行)
たとえ明日、世界が終わるとしても、
彼はその庭にきっと種をまくだろう。

「私は、断固たる楽観主義者なのです」
エイズを発症したあとも精力的に作品を撮りつづけ、1994年に他界したイギリスの映像作家デレク・ジャーマン。ロンドンの郊外、ダンジェネスという町には、彼が生涯愛した庭があるという。原子力発電所からほど近いその場所は、もとはといえば大小の岩が転がる荒涼とした原野。誰も見向きもしないようなその土地に移り住んだ彼は、小石を拾い集め、土をならし、種をまき、水をやり、やがて小さな庭を築いた。その様子をおさめたのが、この写真集。赤や青や黄色の花があざやかに咲きほこる庭には、彼の作った木や針金のオブジェが点在する。鉄錆びたシャベルにも、乾いた流木にも、再びいのちを吹きこんだデレク・ジャーマン。生と死の狭間で、いのちをいつくしむひとの横顔がどこかさびしげなのは、気のせいなのだろうか。彼の残した「奇跡の楽園」―いまもその庭を訪れる旅人は、あとをたたないという。( 04/11/18 )

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